ズタズタの「万里のファイアウォール」公聴会:Great Firewall

大事な部下を引き抜かれては椅子をぶん投げて「エリック・シュミットめ、絶対埋めてやる」と荒れるマイクロソフトスティーブ・バルマーCEOも、中国を前には宿敵グーグルもろとも手負いのアナキンだ。

情報検閲と秘密警察―この踏み絵を踏まずしてネットユーザ1億1千万人の宝の山・中国には入れない。俗に言う 「Great Firewall(万里のファイアウォール/インターネット版万里の長城)」。アメリカのトップ企業が今最も頭を痛めている問題である。

昨日の米下院小委員会公聴会では選択の余地なく中国の踏み絵を踏んで非難轟々のグーグル、マイクロソフト、ヤフー、シスコの代表が(いやいや)出廷し(しぶしぶ)証人喚問に応じた。

トム・ラントス民主党幹事(下院国際関係委員会)「諸君の中国における忌々しい行動は恥だ。それでよく君たちの社長は夜眠れるな、私にはただただ理解できんよ」

ヤフー「(メールアカウント情報引渡しで反体制ジャーナリストの逮捕・収監(なんと懲役10年!)に加担した同社。中国の法に従うことは)大きな苦渋の選択だった」

グー グル「(検索結果に自動検閲の導入を決めたことは)歓迎すべきことでも自慢できることでもないが... 最終的には中国国内ユーザの利益になると信じる道を選んだ。[中略] 中国で事業をするためには自己検閲という、当社の基本理念および企業責務の根本に反することを受け入れなくてはならない。それでも中国進出を決めたのは、完全でないにしても全体として見れば中国国内の情報アクセスの拡大に貢献できると判断したからだ」

ジム・リーチ共和党議員(下院アジア太平洋小委員長)「(グーグルに対し)それではまるで中国政府の手先ではないか…これは驚いたね」

マイクロソフト「(反体制ブログのアクセスを遮断した同社は情報自由化実現のためにも中国駐在は必須と主張)表現の自由を推進することは、損失より利益の方が遥かに大きい」

ク リス・スミス議員(人権委員会主席)「利益のために暴政と手を組むなど、あってはならん。[中略]  それはつまり情報統制と秘密警察の両方に積極加担するということだ。中国の秘密警察と言えば、残虐なことでは地上に類を見ないものの一つ。君たち企業はそれをどこまで分かってるのかね。それとも甘く見ているのか。こんな協力関係は悲劇だ。その協力によって拷問を受けている人々が中国にはいるんだ」


「悪と手を結んでまで金儲けがしたいのか!」と問われれば「企業ですから」と答えるしかないだろう。現段階では。相手は世界一の巨大市場となる中国だ。外で指くわえて見ていたら企業生命にかかわる。

中国が具体的に求めてくるのは①国外反体制コンテンツの検閲&ブロック、②テロおよびポ*ノ系コンテンツの禁止、③ISPへの政府検閲実施の強制など。昨年から検閲は格段に厳しくなった。

「これはもう、一企業、一業界で対処できる問題ではない。ヤフーが単独で解決するなど…とても無理だ。政府の助けが要る」、ヤフー のシニアVPコラハン氏は音を上げた。

スミス議員は「反検閲技術(countercensorship technologies)」に資金援助を募り、ネット検閲技術の輸出に許可申請を義務付け、メールサーバは中国国外に置いて反体制分子の捜索協力を逃れることなど盛り込んだ議案を起草中。早急なガイドラインの作成が望まれる。

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