September 29, 2009

ツイッター八分:TechCrunch unlisted from Twitter's SUL


Price of TwitterGate (c) TwitterCounter.com

When you sign up MySpace, Tom Anderson is already on your friend list.

With Twitter, you'll be shown The Suggested Users List (SUL), approx. 500 high-profile users worth following.  You can either follow them all, check some, or pass them all together, but you've gotta go through this last stage to complete your sign-up process, and its impact is HUGE.

The endorsement started in mid-January "to help get them (new users) started"(Ev),  and the followers of TechCrunch went from 41,000 to 111,000 in a month, thanks to SUL.

Then in mid-July, TwitterGate happened. TechCrunch posted Twitter's internal documents European hacker illegally obtained from their system.

That was the corporate nightmare.  Twitter didn't mean to let that be published.

So, they moved on and quietly dropped TechCrunch from SUL at the end of July.  Now, TechCrunch's influence started heading down, while Mashable (optimized for Twitter) and ReadWriteWeb enjoy healthy increase of followers.

Mike Arrington's tweet to Mathew Ingram (summarized here) indicates Twitter's referral accounts for 20% of all traffic.


TechCrunch top referring sites, August 2009 (c) Compete.com

Damage done. Maybe TechCrunch deserves the punishment... But I should wonder if it's the right move. Up until now, I assumed Twitter is an open and neutral platform.


SULとは?


MySpaceに入ると、友だちリストに共同創業者のトムがデフォルトで入ってるが、Twitter(ツイッター)では加入手続きの最後に「The Suggested Users List (SUL)」というのが出てくる。

これはフォローして損のない著名人のおすすめ。日本版は7人衆(いちるさんも!)だが、英語版は約500人いる。新会員は全員フォローしてもいいし好きな有名人だけ選んでも全員パスしてもいいが、この関門を通らないと手続きは完了しないから、リストに入るとフォロワー増加の効果は絶大だ。予告抜きで名前が出ると、本人も腰抜かすほど大勢の市民にフォローされる。

英語圏でフォロワーが7桁(100万人)超える人は、ほぼ間違いなくSULの人だ。SUL以外のオーガニックで、7桁突破した人はまだ現れていない。

ツイッターの権威はSULと非SULの2段階


SULが始まったのは今年1月半ば(日本は7月)。誰をフォローしていいか分からない新会員に、「とりあえず何か始める取っ掛かりを用意するため」(共同創業者エヴァン・ウィリアムズ氏)導入された。

アイディアはいいんだけど、サイトの権威を10段階で評価するグーグルランクと違い、TwitterではSULとその他大勢の2段階しかなくて、落差が激しい。まるで天国と地獄だ。

Twitter社員が任意に選び、リスト更新も滅多にない、そんなゆる~い空気でやってる割には、フォロワー数がトラフィックに与える影響は侮れない。とまあ、商売でサイトやってる報道機関・企業にとっては忌々しくも妬ましいリストで、「SULのポストを売りに出したら25万ドルで売れるね」とロバート・スコーブルが冗談で言うぐらい、ニーズはある。

ブログに「SUL外し」で報復

さて、TechCrunchの話に移ろう。

TechCrunchはデルやNYタイムズなんかと一緒に、めでたく第1期SULに選ばれ、ものの1ヶ月で4万1000人から11万1000人にフォロワーが増え、影響力の目盛りが日に日に増し、ウハウハの春を謳歌していた。

ところが7月半ば、TwitterGateが起こった。これは欧州のハッカーがTwitterのシステムに侵入し、違法に入手した社内機密文書約300ページがTechCrunchの受信箱に転がり込んだ事件。TechCrunchはTwitterにセキュリティ改善の対応を促した上で、よせばいいのに文書の一部公開に踏み切った。読者に止められても、「Twitterに都合のいいものだけ公開するんじゃ広報じゃん」とかなんとか張り切って。

これがTwitterの逆鱗に触れた(「この情報を公開する件についてはTwitterから青信号をもらった」というTechCrunchのマイケル・アーリントンに、Twitterのエヴァン・ウィリアムズは「なに!? 誰に? それは我々の理解と違う」と…つぶやいている)。

7月31日、TechCrunchは静かにSULから外されてしまう。

問われる、中立性


で、どうなったか? 上のグラフを見たら一目瞭然だ。Mashable(←ツイッターに最適化しており、一時は自動RTに名前貸す読者の認証情報集めるフォームとか置いてた)とReadWriteWebは順調にフォロワー数が伸びてるのに、TechCrunchは8月から横ばいの頭打ち。

マイケル・アーリントンマシュー・イングラムに送ったつぶやきによると(再掲はここ)、TwitterからのトラフィックはTechCrunch全トラフィックの20%に当たるというから、これは痛い。グラフの棒から地獄の呻きが聞こえてくるようだ。

違法入手の文書公開したんだから自業自得でしょ、と言われたらそうだけど、この制裁はどうかなあ…。一歩使い方間違えると諸刃の刃でござるよ。


[The SUL as a tool to control news? - Scripting News, Twitter Borks TechCrunch – Mashable Ascendant | Techgeist]


UPDATE: 
Twitter’s New ‘Lists’ Feature Finally Introduces Grouping, Offers An Alternative To The SUL
和訳) ←誰でもおすすめリスト作って共有できるようにするみたいね。良かった。

September 27, 2009

ソーシャルメディア革命(日本語字幕):Social Media Revolution - in Japanese

LINK

"We no longer search for the news, the news finds us." - Erik Qualman, Socialnomics

Here's how this video found me.

Techmeme :  News aggregator I check daily.
Robert Scoble's own Suggested User List (SUL) : Yet another reason to love Scoble:)
Marc Ostrick's latest tweet : Shift Happens? Isn't that what I translated last month?
eGuiders : Mind boggling.... Especially because I've just edited related entry...
DotSub.com : I searched for the title and added Japanese translation.

The video is a summary of Socialnomics, the latest book by Erik Qualman, Global Vice President of Online Marketing for EF Education, headquartered in Lucerne, Switzerland (Must read!). Behind the scene stories and references on Social Media Blog.


EF Education社オンラインマーケティング国際VPエリック・クァルマンの新著『Socialnomics』の骨子をまとめた『Shift Happens』のパロディー動画。

「ニュースはもはや検索せずとも、ニュースの方から我々を探してくる」

その主張の通りで、この動画も毎日チェックしてるTechmemeからロバート・スコーブルのサイトに飛び、大統領選でオバマの動画つくったマーク・オストリックのツイートに「Shift Happensが好きな人はこれも好き」とeGuidersにリンクがあったのだ。

クレイ・シャーキーの「新聞、考えられないことを考える」の訳を手直ししたばかりだったので余計に見入ってしまった。DotSubで字幕つけてみたので暇なときどうぞ。


Social Media Revolution
in Japanese

ソーシャルメディアは一過性の流行なのか?
それとも産業革命以来の大きなシフトなのか?

革命の時代へ、ようこそ

2010年ジェネレーションXは団塊の世代の人口を抜く
その96%はソーシャルネットワークに入っている
ソーシャルメディアはポルノを抜き、今やウェブアクティビティNo.1
昨年アメリカで結婚した8組に1組はソーシャルメディアで知り合った

5000万ユーザー達成にかかった年数
ラジオ 38年/テレビ 13年/インターネット 4年/iPod 3年
Facebookは9ヶ月未満でユーザー1億人
iPodアプリは9ヶ月未満でダウンロード10億
Facebookが国なら世界第4位の大国
しかし上には上が…
中国のQZoneはさらに大きく、サービス利用3億人を超える

2009年アメリカ教育省が行った調査では、平均して
対面よりオンラインで授業を受けた生徒の方が成績が良いことが分かった
高等教育を受ける学生の6人に1人は、オンライン課程履修中
企業の80%は社員採用の主なツールとしてLinkedInを使っている
Facebookで最速急増中のセグメントは55-65歳女性
アシュトン・カッチャーとエレン・デジェネレスのTwitterフォロワー数の合計は、アイルランド、ノルウェイ、パナマの総人口を上回る

Twitter利用の80%はモバイル端末上
いつでもどこでもアップデート
客への対応が悪いと、どんな目に遭うか、考えてもみてごらん

ジェネレーションYとZにとってメールは過去のもの
2009年ボストン大学は新入生へのメールアドレス付与を止めてしまった

ベガスで何か起こると、その記録はFacebookとTwitterとOrkutとBeboとFlickrとDiggとMySpaceとYouTubeに残る

YouTubeは世界で2番目に大きな検索エンジン 動画は1億本を超える


Wikilはハワイ語で「Quick/素早い」
Wikipediaには1300万件を超える記事がある
各種調査によると記述内容はブリタニカ百科事典より正確だという
記事の78%は非英語圏
Wikipediaに記事1本出る度に1ドルもらえたら136.23ドルもらえる計算
…1時間でね

ブログは現在2億件。ブロガーの54%はTwitterに毎日コンテンツを投稿している
クチコミ… クチ世界
世界大手トップ20社の検索結果の25%は、ユーザー生成型コンテンツ
ブロガーの34%は製品や企業について意見を書いている

彼らが自分の会社について書く話は面白い?
まあ…
みんなもっと重視するのは仲間内での製品やサービスの評価だからまだいいさ
グーグルのランク付けより、そっちが重要

消費者の75%は友だちの薦めを信用する
広告を信用する人は、たった14%
従来型のテレビCMで前向きなROI(投資対効果)を生むのはわずか18%。TiVoのインタラクティブCMは90%の人が好感を持つ

Huluのストリーム配信は2008年4月の6300万件から2009年4月には3億7300万件に増えた
18-34歳の70%はネットでTVを見た経験者
DVRやTiVoでTV番組を見た経験者は逆に33%だけ

アメリカ人の25%は前月ショートビデオを見たという。携帯で
アマゾン書籍売上げの35%はKindle向け

新聞最大手25社中24社は記録的な部数落ち込みに直面している

もはやニュースは検索せずとも、ニュースが我々を探してくる
近い将来には製品やサービスも検索しなくなるだろう
ソーシャルメディアを通して、製品やサービスの方が我々を探しにくるようになる
ソーシャルメディアは一過性の流行ではない。人と人のコミュニケーションの取り方が今、抜本的に変わろうとしている
Facebookでみんなが共有するコンテンツ片(リンク、ニュース記事、ブログ投稿、メモ、写真など)は150万件を超える …1日で

「経済だよ、アホ」-ジェームズ・カーヴィル、1992年(クリントンの大統領選スローガン)
「民主導経済だよ、アホ」―エリック・クァルマン、2009年(「Socialnomics」著者、この動画の製作者)


ソーシャルメディアで成功する企業の役割りは、広告主デビッド・オグルビーより実業家デール・カーネギーに近い
まず聞く。売るのは二の次
今までのような広告主ではなく、パーティー幹事、アグリゲーター、コンテンツプロバイダーみたいな役割りを担う会社だ

この期に及んでもまだソーシャルメディアは一過性の流行だと思う?
ようこそ、ソーシャルノミクスの世界へ
用意はいいかい?





[Statistics Show Social Media Is Bigger Than You Think « Socialnomics – Social Media Blog]

September 25, 2009

百ドル札が雨あられ@ごみリサイクルセンター:Shower of $100 bills in Sunnyvale




Yesterday I read a story about a bucket of Ben Franklins (worth $3,200) falling on Sunnyvale recycling center workers. The owner hasn't showed up yet.

If they were in Japan, they'll be eligible to claim 5-20% commission fee for reporting it to authority.   Then if no one shows up within three months, that money will be all theirs.  For less than half million yen (5000+ USD), they don't have to pay tax, either.

But poor Sunnyvale sorters have to respect the company's silly "no-scavenger" policy.  If not claimed within 90 days, the money will be turned over to the city's general fund, the city spokesperson said. 


It's not fair. Look where they work. Yelp users say it's "the dirtiest place in Silicon Valley." Working there, they earn less than $14/h.  Give them a little incentive.  Also, police believe the chunk came from Mountain View, not Sunnyvale. 


サニーベールのごみリサイクルセンターSMaRTで火曜、3200ドル分の100ドル札が降る騒ぎがあった。

同センターはマウンテンビュー、パロアルト、サニーベールの3市からゴミを回収している。朝、再生ごみを仕分けて2階に上がるベルトコンベアーに乗せたところ、突然100ドル札がひらひら舞い出した。
「次から次に降ってきた。まだある、まだある。そんな馬鹿なって。最初は冗談だと思ったよ」(Geronimo Martinez所長、57歳)―San Jose Mercury News


センターにはいろんなものが集まるが(例:50代の女性の死体)、こんなのは初めて。みんな無我夢中になってバケツに拾ったそうだ。2日経ってもまだ持ち主は現れていない

これが日本ならウシシで、拾得物は警察に届け出た時点で5~20%の報労金が請求できる上、持ち主が警察に3ヶ月以内に届け出なかった場合は全額自分のものになる。50万円までなら非課税だ。

ところがSMaRTの場合、職員は「ごみをあさってはならない」という社則を守らなきゃならないので、90日間持ち主が現れなかったら全額サニーベール市の予算に入ってしまう(市の発表)。近頃は「ゴミからこっそりネコババしてる」という通報が警察にあって監視も厳しくなっているみたいね。

そんなわけでバケツに集めたときは「レッドロブスターでご馳走だ」と狂喜乱舞した作業員たちも、「タコベルで我慢するか」としょんぼり。なんとも気の毒な話である。

Yelpのレビューによると、SMaRTは蝿がすごくて、「シリコンバレーで一番汚い場所」なんだそうだ。なのに時給は14ドル(1260円)。ゴミ漁りが職務の妨げになるのはわかるけど、たまにボーナスぐらい…あってもいいんじゃないかなぁ…。それに警察によると、問題のゴミの塊は隣のマウンテンビューから回収したものらしい。それがサニーベール市の懐に入るのもなんだかなー。


[San Jose Mercury News]

September 24, 2009

カニエ・ウェスト暴言パロディー:Kanyegate and I'mma Let You Finish meme




89 percent of people say rudeness is a serious problem.
78 percent say it's gotten worse in the past ten years.
99 percent of people say they aren't rude.

89%の人は、横柄な態度がまかり通るのは深刻な問題だと答え、
78%の人は、この10年で状況はますます悪くなったと答え、
99%の人は、自分は横柄ではないと答えた。

- Buggs, S., U.S. News & World Report, May 27, 1998 (I Hate People, p.7)


"Yo Taylor!  I'm really happy for you and I'mma let you finish, but Beyonce had one of the best videos of all time!" - Kanye West's interjection in Taylor Swift’s Video Music Awards acceptance speech

「よ~、テイラー! おめえのめでたい話は最後まで終わらせてやっけどよ、史上最高のビデオはなんてったってビヨンセだぜ!」 ―カニエ・ウェスト、Video Music Awards受賞式でテイラー・スウィフトちゃんの受賞挨拶に割り込んで

Kanya West lets anybody finish.  Even your web.

今月はこのカニエ乱入事件のパロディーが流行った。

作り方は簡単。カニエ(下)を貼って、テイラーとビヨンセとビデオのところを置き換えたルビ入れるだけだ。サンプルはここここにある。

アドワーズラボが紹介してる「Kayelicio.us」に行くと、どのサイトもURLの頭に「http://kanyelicio.us/」を入れるだけでこんな風にカニエ化できるので、暇潰しにドゾ。




EXAMPLE:

 Taken from gallery on news.com.au (c) Kanyegate.tumblr.com


PS: Kanye claps hands on Janet Jackson's VMA Tribute to Michael Jackson (2'22"). ジャネットのマイケル追悼ダンスではカニエもノリノリ(2'22")。

September 21, 2009

ネットの友だちを見れば誰がゲイか分かる:MIT Project “Gaydar”



In the social networking age, coming out is not a personal choice any more.

That's what MIT students, Carter Jernigan and Behram Mistree, found out with an experiment “Gaydar” in 2007. They downloaded the Facebook friends of 1,544 men who said they were straight, 21 bisexual, and 33 gay men, and trained their computer program to analyze them. Then they did the same analysis on 947 others whose sexual orientation was not published on the web. Surprisingly the program predicted all 10 gay men, though it failed to accurately identify lesbians or bisexuals. In short, gay men may be outing themselves before they know.

About a decade ago, Dr. Latanya Sweeney of Carnegie Mellon University conducted another experiment, using public anonymous data from the 1990 census, and found that the combination of gender, ZIP code, birthdate uniquely identifies 87% of U.S. population (city:53%, county:18%).  Scary isn't it?

Arvind Narayanan and Vitaly Shmatikov, researchers of University of Texas at Austin conducted similar research using Netflix rating database this year, and the report “De-anonymizing Social Networks”is now available online.

Seemingly anonymous data can sometimes be very personal.  Maybe internet anonymity is just a myth.


類は友を呼ぶ。
英語では「birds of a feather flock together」。社会学では「homophily principle」。

似た者同士がつるむのは今に始まったことではないが、交友関係が表に出るソーシャルネットワーク全盛の今、これが新たなプライバシーの懸念を生んでいる。

Facebookの友だちを見て誰がゲイか当てる」実験を2007年に行ったのは、マサチューセッツ工科大学(MIT)の学生Carter JerniganさんとBehram Mistreeさんだ。2人は同大2007~2011年卒業予定者と院生のプロフィール情報をFacebookからダウンロードし、性的指向をサイトに公表しているストレートの男性1544人、バイセクシャルの男性21人、ゲイの男性33人の性別・性的傾向・友だちリストをコンピュータプログラムに教え、分析させた。するとゲイの男性はストレートの男性よりゲイの友だちが多く、これがゲイ判定の手がかりに使えることが分かった。

その上で同じ分析を、性的指向がサイトに明示されてない947人について行わせてみたところ、別口の聞き込みでゲイと分かってる男性は10人中10人とも「ゲイ」と当てられたんだそうな(バイセクとレズビアンの命中率は低かった)。こんなピッタリ当たるんじゃカミングアウトもへたくれもありゃしない。

因みに、「匿名情報」も思ったほど匿名ではないという点について、今から約10年前に警鐘を鳴らしたのは、カーネギーメロン大のラタニャ・スウィーニー博士だ。女史は2000年米国勢調査で公けになっている情報を使って、どの程度まで個人が特定できるか実験を行った。結果、「郵便番号、性別、誕生日」の3拍子揃えばアメリカ全人口の実に87%は個人の身元が特定できることが分かった(郵便番号が市町村だと53%、郡だと18%)。

同様にテキサス大オースティン校のArvind NarayananさんとVitaly Shmatikovさんは今年、Netflixの映画評データベースから個人を割り出す実験を行い、その結果を「De-anonymizing Social Networks」という論文にまとめ公開している。

ウェブには交友関係、宗教、政治信条、性嗜好、好きな本・映画・音楽・スポーツなどなど身元特定やプライバシー露見に繋がるデータの断片が溢れている。ネットの匿名性なんて幻想なのかも。


[The Boston Globe]


Last Updated at 16:57 on Sept. 21, 2009.

September 19, 2009

マネーをめぐる3つの実験:3 experiments with money - Financial Jesus




"These experiments show us, that just like in other things people can at times be irrational when it comes to their money," says Financial Jesus.  Do you think you're different? Then, go on, take the challenge.


ビッグマック指数のエントリで参考にさせていただいたブログで、こんな興味深い実験を見つけた。これ、3つとも理屈で動ける人なんているんだろか?


3 experiments with money
by Roman German, Estonian blogger

- in Japanese

なぜ人はそんな行動をとるのか? その説明を試みる行動経済学は僕が大好きな学問領域だ。ここに紹介する3つの実験は、人が金とどう付き合うか理解を深めるため科学者たちが考案したものである。


1. 最後通牒ゲーム

100ドルのオファーがある。もう一人の被験者との配分は自分で決めなくてはならない。その分け前で相手がのめば、ふたりとも取り分は自分のものになるし、拒否されればふたりとも分け前はない。

この実験の狙いは、(経済理論が言うように)人間が本当に理性で物事を判断する動物なのか、そうでないかを見ることにある。

理性で物事を考える人は、額面がなんであれ、もらう金は喜んでもらうはずだ。だって、その額をのまなきゃ一銭ももらえないのが分かっているから。つまりAがBに「99ドル:1ドル」で分けると言ったとしても、Bはこれを受け取るべきなのだ。理屈の上では、0ドルよりは1ドルもらう方がまだいい。

現実はどうか?
ところが現実には30ドル切るオファーは通常拒否されてしまう。 なぜか? 提案が公平でないという判断が先に立ってしまうからだ。自分の取り分が小さいのに、相手がそれよりずっと多かったら(しかもその金は自分の金から行っているかもしれないのだ)、不公平ではないか。そんならケチな金もらって後でクヨクヨするぐらいなら最初からもらわない方がいいと、考えてしまうのだ。


2. 金銭価値判断の実験

次は、結構タフな実験だ。あなたなら;
(1)周りのみんなが5万ドル稼ぐ中で10万ドル稼ぐ方がいいだろうか? それとも
(2)周りのみんなが40万ドル稼ぐ中で20万ドル稼ぐ方がいい?

留意すべきルールはただひとつ。「どちらも生活費と物価は同じ」だということ。

みんなが選ぶのは?
理性の人は(2)のオプションを選ぶはずだ。そりゃ周りのみんなに比べたら少ない。が、なにしろ稼ぎは大きい。遣う金も2倍になる。が、蓋を開けてみるとほとんどの人は(1)のオプション ―つまり周囲よりリッチになる方を選ぶのだ。

科学者の中には、これひとつ見るだけで人間がいかに理不尽な生き物か分かるという人もいる。

僕はでも、その意見には反対だ。この実験は、人にとっては持ち金の大小より社会的地位の上下の方が遥かに重要な意味を持つ、ということを明確に示している。友だちより多い金か少ない金のどちらかひとつを選べと言われたら、前者を選ぶのが理性的判断というものだ(たとえ第2のオプションより合計額は小さくとも)。この実験でみんなの取る行動はマネー判断として見れば理に反するが、“人間としての判断”としては理に適っている。後者の方が前者より重いのだ。


3. 行列の実験

第1の人物) 行列に並んでいる。カウンターで「100万人目のお客様」となり賞金100ドルをもらう。
第2の人物) 別の場所で行列に並んでいる。目の前に並んでいた男が「100万人目のお客様」となって賞金1000ドルもらい、自分は「100万人突破後初のお客様」として賞金150ドルをもらう。

あなたなら、どちらがいい?
これも驚くべきことに、世の中の大体の人は第1のオプションを選ぶのである。つまり100ドルもらう方。マネーだけ見たらこの判断は良くない。だって50ドルの損が出るのだから。じゃあ何故みんな50ドル損すると分かってて、そちらを選ぶのか? もちろん100万人目の客になって賞金1000ドル獲得するチャンスがあったのに目の前でミスったと、後悔の気持ちを味わいたくないからだ。


実験が示唆すること

以上の実験で分かるのは、人間はどんなことでもそうだが、マネーが絡んでも全く同じで、時として理屈では考えられない判断をしてしまう生き物だということだ。人生にはマネーより大事な状況もあるのだ。そこんところを経済学者は理解しておく必要がある。経済(株市場)を語る際には、経済というのは、マネー的には自分のタメにならない金融判断をまま下してしまう凡人で成り立っているのだな、ということを肝に銘じておかなくてはなるまい。

人がこうした判断を下す場と領域を探し、自分のカードを正しく切れば、マネーは自分のものだ。


[3 experiments with money | Financial Jesus]

September 11, 2009

日米加のビッグマック指数は世界一:UBS's Big Mac Index - Work Time Needed To Earn A Big Mac



Here, The Economist illustrates the recent UBS survey on "how long it takes a worker on the average net wage to earn the price of a Big Mac in 73 cities."

The Big Mac index was first invented by Pam Woodall of The Economist (photo below) in Sept 1986, and has been annually updated ever since.

According to UBS report (PDF), average workers in Chicago, Tokyo, Toronto need to stay on the job for 12 minutes, while workers in Mexico City, Jakarta, Nairobi have to work more than 2 hrs to afford a Big Mac! 

Well, one has to wonder, "Do they really buy it?"  I mean, at the end of the day, do they still have the luxury of stopping by McDonald to spend that much for greasy American food?   They have more affordable, nonetheless healthy options, and this lack of demand is the weak point of this index.

BTW, European countries don't show up on the top, not because they're less paid, but because their Big Mac is crazily expensive. View World map of Big Mac Index of Feb 2009 to grab an overall idea of price disparity.



これは、UBSが8月に発表した世界73都市の最新のビッグマック指数(PDF)をもとに英誌エコノミストが作ったチャート。

エコノミストと言えば1986年9月にパム・ウッダル記者(写真右)が冗談でビッグマックの現地相場で物価を比べ、「ビッグマック指数」として発表して以来毎年アップデートしている媒体だ。

このUBSバージョンでは、各都市住民の“購買力”を、「平均賃金の人が現地相場のビッグマックを買うまで何分働かなきゃならないか」という基準であらわしている。

最短はシカゴ、東京、トロントの12分。逆にメキシコシティ、ジャカルタ、ナイロビの人たちは延々2時間以上も働かないとビッグマック1個ありつけない。たまたま貧しい国に生まれてしまったばっかりに、なんてこと!

でもまあ、2時間働いてヘトヘトの彼らが、なんで好きこのんでマクドナルド行ってビッグマック買うの? という疑問は残るよね。もっと安くて体に良い伝統料理がたくさんあるだろうに。マック1号店が出た時のモスクワみたいに、ぜいたく品で高いだけでは? ここがビッグマック指数の弱点だ。

同じこと考える人は他にもいて、そこのコメントに「ビッグマック指数を視覚化したGoogleマップ」があった。2009年2月の最新版はここだが、なんと世界一ビッグマックが高いのはノルウェーで、米国の2倍もするではないか! あんなものに700円も出す人が地上にいようとは…!

そんなわけで欧州各国がランキング上位に入ってないのは賃金が低いからじゃなく(高い)、単にビッグマックが異様に高いことによるものらしい。

ひとつ勉強になった。

Related:
Worldwide Cost of Living Survey - The Economist
↑ Japan topped the list, thanks to a strong yen. As long as they stay in Japan, nothing really changes... 世界生活費調査では日本が世界一。と言ってもこれは円高の影響で、昨年12月時点の統計(下表)を今年2月の為替レートに換算し直したら(上表)、円高ユーロ安でオスロ、パリ、コペンハーゲン、ヘルシンキ、フランクフルトを追い越しちゃったのだそう。

[via Digital Inspiration]

September 10, 2009

日本はアメリカ人が守りたい何番目の国?:Countries Most Americans (Don't) Want to Defend

 

A new Rasmussen Reports  national telephone surveys of 1,000 adults finds that 46% of Americans believe the United States should provide military assistance to Japan if it is attacked. 41% disagree, and 13% aren't sure.

I'm not sure it's a favorable number or not, but Japan placed the sixth in terms of countries America should assist, following Canada (78% favors aiding), Great Britain (73%), Mexico and Israel (each with 59%), and Germany (53%), surpassing France (45%).

"As for the remaining countries on the list, there is more opposition than support for helping them if they are attacked," concludes Rasmussen. Really?

Topping off the adversary list (i.e. countries most Americans don't want to defend) are Iran and North Korea (74% opposes military assistance),  China and Russia (each with 72%).


「日本が攻撃されたら軍事援助すべき」と考えるアメリカ人は全体の46%、「すべきでない」は41%、「わからない」は14%いる。

これは米世論調査会社ラスムセンが今月はじめ成人1000人を対象に電話で行った世論調査の結果。

それによると、アメリカ人が有事に守りたいと思う国ランキングで日本は、カナダ(78%)、英国(73%)、メキシコとイスラエル(各59%)、ドイツ(53%)に次ぐ第6位。イギリスから独立を勝ち取って2世紀以上、ドイツ・日本を破って60年以上経つ。昨日の敵は今日の味方?

因みに旧同盟国フランスは日本より若干少な目の45%で、あと残りの国々は守りたくない人の方が多かった。

逆にアメリカ人が一番守りたくない国はイラン・北朝鮮(ともに74%)、次いで中国・ロシア(ともに72%)で、こちらは冷戦時代のメンタリティーが根強く残っている。

仲間 有事に守るべき 守るべきでない

中国

19%

26%

13%

72%

日本

59%

10%

46%

41%

ロシア

17%

27%

15%

72%

イギリス

85%

5%

73%

18%

イラク

17%

41%

30%

57%

ドイツ

66%

5%

53%

33%

ベトナム

21%

21%

19%

64%

カナダ

86%

4%

78%

16%

サウジアラビア

23%

25%

26%

59%

フランス

61%

4%

45%

37%

イスラエル

70%

8%

59%

29%

北朝鮮

4%

75%

13%

74%

メキシコ

54%

11%

59%

28%

イラン

5%

70%

13%

74%

パキスタン

12%

28%

29%

49%

アフガニスタン

15%

40%

33%

50%

ベネズエラ

20%

34%

25%

56%

エジプト

39%

9%

38%

41%

(source: US Standings for Various Countries around the World - Rasmussen Reports)


[Rasmussen Reports™]

September 7, 2009

シリコンバレーのトリビア33:Silicon Valley Trivia Quiz 33

Q:Who's this Tech mogul who got attacked by elephant in Africa?
アフリカで象に襲われ命からがら帰ったビリオネアは誰?



"It was all happening so fast.
There was no place to hide, no place to run"
全部あっという間の出来事だった。
どこにも逃げも隠れもできなかった。

African Elephant (c) Arno & Louise




A:

Tom Siebel トム・シーベル
Founder, Siebel Systems - Acquired by Oracle in 2006
シーベル・システムズ創業者 - 2006年オラクルが買収

"It was quiet, and then the quiet stopped" - San Jose Mercury News

サンノゼ・マーキュリー紙によると8月1日早朝、アフリカのタンザニアで案内人ともども象に襲われたのは、オラクルから独立後シーベル創業で財を成したシリコンバレーのビリオネア、トム・シーベル氏(56)である。

象が早朝の静謐の中、水飲み場でいろんな余興をやる様子を見ようと、200ヤード離れた場所から見物していたところ、群れの1頭が振り返り、いきなり突進してきた。「理由なんか無い。恐怖を感じさせるものなんて何もなかった。静まり返っていたかと思うと、次の瞬間、静寂は消えていた」(シーベル氏)

案内役は銃を放った。が、弾が外れ、シーベル氏は象に踏まれ、脚を角で突かれ、「ありったけの力を振り絞って硬く丸くなった」が肋骨を折り、右脚を潰される重傷を負いナイロビ市内の病院に収容された。18日間で4つの病院を転々とし、ようやく帰国許可が下り、今はウッドサイドの自宅で療養中。



トリビア32:Trivia Quiz 32トリビア34:Trivia Quiz 34

September 5, 2009

グーグルUFOロゴの謎:Explanation Needed - Google UFO logo (UPDATED)


Today's Google doodle is UFO. Clicking on the logo will take you to a search for a term "unexplained phenomenon."   Why today?  No one knows. Telegraph says that 'One of the things bothering the online community is that early on Saturday morning the new logo could be seen in some places, but not others. "Am I the one that is going crazy?" asks a blogger in Arizona who can't see the logo.' Read Google's Tweet (below) and get even more confused.

世界で最も人が集まるグーグルトップページ、本日のロゴはUFOである。ロゴをクリックすると「unexplained phenomenon(説明のつかない現象)」の検索結果に出る。「なぜ今日?」と、朝も早くからいろんな説が出回っている。

「映画『District 9』が英国では昨日公開だったから?」という説もあるが、米国は1ヶ月前から封切りになってるしね…。早朝の段階では一部地域では見えるのに一部地域で見えなかったため、見えないアリゾナのブロガーが「俺の頭がおかしいのか?」と頭を抱えていたそうだ

GoogleのTwitterにこんな、ヒントにならないヒントが出ている。



The numbers decoded hereALL YOUR O ARE BELONG TO US.... Hey!
ここの解読によると数列は「ALL YOUR O ARE BELONG TO US」。AYBというネットジョークのもじりである。

AYB=All your base are belong to us

「All your base are belong to us」は「君達の基地は、全てCATSがいただいた」という日本語からきている。セガMD「ゼロウィング」が妙な英語字幕のまま出てしまい、あまりの間違いっぷりに10年ぐらい前からネット掲示板で復活、ジョークとして何度もパロられてるうちに耳の方が慣れてしまい定着した英語である。「base」はいろんな単数名詞に置き換えて楽しめる(詳しくはWikipedia日本版で)。と分かったところで「?」なんだけど。

UPDATE:
Telegraph found the answer; it was Zero Wing's first release date in Japan (September 5, 1989). 英テレグラフに正解が出た。1989年9月5日はゼロウィング日本発売日。20周年のお祝いみたいです。…懲りすぎだよ!

September 2, 2009

日経コンピュータ9月2日号にマイケル・アーリントン氏インタビュー登場!:Michael Arrington Talks Google 10 Years from Now - Nikkei Computer

On the current issue of Nikkei Computer, Michael Arrington, is sharing his view on Google, MS, and search ten years from now.

I visited their office in Palo Alto a month ago, asked questions over the crystal ball and wrote what he saw 'as-is.' 

Sep 2nd Edition: Table of Contents (auto-translated) 

Great thanks for uber-busy but always nice editor-in-chief, Nobuyuki Tanijima, for reviewing the entire piece and making it sound like Nikkei article.  Now, Mike sounds even more articulate and smarter!!

Oh, BTW,  I posted some pics from the interview here.  Take a look!


7月末に取材したTechCrunch創業者マイケル・アーリントン氏のインタビューが日経コンピュータ9月2日号に無事、やっと、ついに…掲載になった。超ご多忙中、あの酔いどれ原稿を格調高い日経調に丹念に直してくださった谷島宣之編集長に感謝!

グーグルとマイクロソフト、検索の10年後をラフに語る計4ページ。最新号目次には他にも読みたい記事が盛り沢山だ。書店で見かけたら(見かけなくても)是非お手にとってご覧くださいませ。

オフィス訪問の際の写真と雑感はTechCrunch日本語版でどうぞ

September 1, 2009

ニューヨーク・タイムズの鳩山論文(全文和訳):Yukio Hatoyama's Op-Ed on NYT - Full Version

Hatoyama on local paper

Japan's next Prime Minister, Yukio Hatoyama, drew much concern when NY Times ran the Op-Ed piece just days before the election.  You can read its original on Hatoyama's website.

Short version: A New Path for Japan - New York Times (via Global Viewpoint/TMS), Aug 26
Long version:  My Political Philosophy - Voice, Aug 10 (English doc)

In the first chapter, Hatoyama quoted the opening lines from Count Coudenhove-Kalergi's book The Totalitarian State against Man.;
"Man is an end and not a means. The state is a means and not an end" - Count Coudenhove-Kalergi

But the NYT omitted much of the first two chapters, so readers cannot figure out who first said "end" and "means" in what contexts, and these terms set rather extreme tone.  Aside from that, the Op-Ed is just a cut & paste.  Carefully selected cut & paste, I should say.

I'd definitely recommend you to read the original, because it's actually quite inspiring.


「鳩山氏ってどんな人?」という海外の記事でよく引き合いに出されるのが、選挙数日前にNYタイムズが流した「鳩山論文」短縮版。と言っても単に月刊『Voice』9月号が8月10日掲載した長文からの部分転載みたいだが。

元記事は鳩山氏のウェブで日英韓の3ヶ国語で読める。

NYタイムズ掲載の短縮版
Voice掲載のオリジナル全文英訳doc.

さすがスタンフォード博士号、事務所の英語も申し分ない。(まあ、それがアダに出て転載されちゃったわけだけど…。追:短縮版は通信社Global Viewpoint/TMS経由の配信)

両方比べてみると、元の原稿では第1章にカレルギーの名言「人間は目的であって手段ではない。国家は手段であって目的ではない」とその説明が出てくるのに、NYタイムズの転載記事は第2章終盤の「~資本主義が原理的に追求されていくとき、人間は目的ではなく手段におとしめられ、その尊厳を失う」から始まるので、「目的」と「手段」という言葉を元々誰がどういう文脈で使ったのか分からず、のっけから穏やかじゃない。

でもま、変わってる部分と言ってもそれぐらいか。残りは単なるコピペ。でも書き出しで読み手のマインドセットは9割ぐらい決まっちゃうものなので、あの書き出しはなんとかして欲しい。

参考までに全部オリジナル記事と照合し、転載箇所だけ元の日本語に戻してみよう。グレイは削除、オレンジは加筆・編集された部分。

A New Path for Japan 

by Yukio Hatoyama, New York Times


冷戦後の日本は、アメリカ発のグローバリズムという名の市場原理主義に翻弄されつづけた。至上の価値であるはずの「自由」、その「自由の経済的形式」である資本主義が原理的に追求されていくとき、人間は目的ではなく手段におとしめられ、その尊厳を失う。金融危機後の世界で、われわれはこのことに改めて気が付いた。道義と節度を喪失した金融資本主義、市場至上主義にいかにして歯止めをかけ、国民経済と国民生活を守っていくか。それが今われわれに突きつけられている課題である。

この時にあたって、われわれは自由の本質に内在する危険を抑止する役割を担うものとして、フランスのスローガン「自由・平等・博愛」の博愛=フラタナティ(fraternite、友愛)の理念に立ち戻らなくてはならない。

現時点においては、「友愛」は、グローバル化する現代資本主義の行き過ぎを正し、伝統の中で培われてきた国民経済との調整を目指す理念と言えよう。それは、市場至上主義から国民の生活や安全を守る政策に転換し、共生の経済社会を建設することを意味する。

言うまでもなく、今回の世界経済危機は、冷戦終焉後アメリカが推し進めてきた市場原理主義、金融資本主義の破綻によってもたらされたものである。米国のこうした市場原理主義や金融資本主義は、グローバルエコノミーとかグローバリゼーションとかグローバリズムとか呼ばれた。米国的な自由市場経済が、普遍的で理想的な経済秩序であり、諸国はそれぞれの国民経済の伝統や規制を改め、経済社会の構造をグローバルスタンダード(実はアメリカンスタンダード)に合わせて改革していくべきだという思潮によってもたらされたものである。

日本の国内でも、このグローバリズムの流れをどのように受け入れていくか、これを積極的に受け入れ、全てを市場に委ねる行き方を良しとする人たちと、これに消極的に対応し、社会的な安全網(セーフティネット)の充実や国民経済的な伝統を守ろうという人たちに分かれた。小泉純一郎政権(2001-2006)以来の自民党は前者であり、私たち民主党はどちらかというと後者の立場だった。

各国の経済秩序(国民経済)は年月をかけて出来上がってきたもので、その国の伝統、慣習、国民生活の実態を反映したものだ。したがって世界各国の国民経済 は、歴史、伝統、慣習、経済規模や発展段階など、あまりにも多様なものなのである。グローバリズムは、そうした経済外的諸価値や環境問題や資源制約などを 一切無視して進行した。小国の中には、国民経済がおおきな打撃を被り、伝統的な産業が壊滅した国さえあった。


冷戦後の今日までの日本社会の変貌を顧みると、グローバルエコノミーが国民経済を破壊し、市場至上主義が社会を破壊してきた過程と言っても過言ではないだろう。郵政民営化は、長い歴史を持つ郵便局とそれを支えてきた人々の地域社会での伝統的役割をあまりにも軽んじ、郵便局の持つ経済外的価値や共同体的価値 を無視し、市場の論理によって一刀両断にしてしまったのだ。

資本や生産手段はいとも簡単に国境を越えて移動できる。しかし、人は簡単には移動できないものだ。 市場の論理では「人」というものは「人件費」でしかないが、実際の世の中では、その「人」が地域共同体を支え、生活や伝統や文化を体現している。人間の尊厳は、そうした共同体の中で、仕事や役割を得て家庭を営んでいく中で保持される。

農業や環境や医療など、われわれの生命と安全にかかわる分野の経済活動を、無造作にグローバリズムの奔流の中に投げ出すような政策は、「友愛」の理念からは許されるところではない。また生命の安全や生活の安定に係るルールや規制はむしろ強化しなければならない。

グローバリズムが席巻するなかで切り捨てられてきた経済外的な諸価値に目を向け、人と人との絆の再生、自然や環境への配慮、福祉や医療制度の再構築、教育や子どもを育てる環境の充実、格差の是正などに取り組み、「国民一人ひとりが幸せを追求できる環境を整えていくこと」が、これからの政治の責任であろう。

(カット)

「友愛」が導くもう一つの国家目標は「東アジア共同体」の創造であろう。もちろん、日米安保体制は、今後も日本外交の基軸でありつづけるし、それは紛れもなく重要な日本外交の柱である。同時にわれわれは、アジアに位置する国家としてのアイデンティティを忘れてはならないだろう。経済成長の活力に溢れ、ますます緊密に結びつきつつある東アジア地域を、わが国が生きていく基本的な生活空間と捉えて、この地域に安定した経済協力と安全保障の枠組みを創る努力を続けなくてはならない。

今回のアメリカの金融危機は、多くの人に、アメリカ一極時代の終焉を予感させ、またドル基軸通貨体制の永続性への懸念を抱かせずにはおかなかった。私も、イラク戦争の失敗と金融危機によってアメリカ主導のグローバリズムの時代は終焉し、世界はアメリカ一極支配の時代から多極化の時代に向かうだろうと感 じている。しかし、今のところアメリカに代わる覇権国家は見当たらないし、ドルに代わる基軸通貨も見当たらない。一極時代から多極時代に移るとしても、そのイメージは曖昧であり、新しい世界の政治と経済の姿がはっきり見えないことがわれわれを不安にしている。それがいま私たちが直面している危機の本質ではないか。アメリカは今後影響力を低下させていくが、今後二、三〇年は、その軍事的経済的な実力は世界の第一人者のままだろう。

また圧倒的な人口規模を有する中国が、軍事力を拡大しつつ、経済超大国化していくことも不可避の趨勢だ。日本が経済規模で中国に凌駕される日はそう遠くはない。

覇権国家でありつづけようと奮闘するアメリカと、覇権国家たらんと企図する中国の狭間で、日本は、いかにして政治的経済的自立を維持し、国益を守っていくのか。これからの日本の置かれた国際環境は容易ではない。

これは、日本のみならず、アジアの中小規模国家が同様に思い悩んでいるところでもある。この地域の安定のためにアメリカの軍事力を有効に機能させたいが、 その政治的経済的放恣はなるべく抑制したい、身近な中国の軍事的脅威を減少させながら、その巨大化する経済活動の秩序化を図りたい。これは、この地域の諸国家のほとんど本能的要請であろう。それは地域的統合を加速させる大きな要因でもある。

そして、マルクス主義とグローバリズムという、良くも悪くも、超国家的な政治経済理念が頓挫したいま、再びナショナリズムが諸国家の政策決定を大きく左右する時代となった。数年前の中国の反日暴動に象徴されるように、インターネットの普及は、ナショナリズムとポピュリズムの結合を加速し、時として制御不能 の政治的混乱を引き起こしかねない。

そうした時代認識に立つとき、われわれは、新たな国際協力の枠組みの構築をめざすなかで、各国の過剰なナショナリズムを克服し、経済協力と安全保障のルールを創りあげていく道を進むべきであろう。ヨーロッパと異なり、人口規模も発展段階も政治体制も異なるこの地域に、経済的な統合を実現することは、一朝一夕にできることではない。しかし、日本が先行し、韓国、台湾、香港がつづき、ASEANと中国が果たした高度経済成長の延長線上には、やはり地域的な通貨統合、「アジア共通通貨」の実現を目標としておくべきであり、その背景となる東アジア地域での恒久的な安全保障の枠組みを創出する努力を惜しんではならな い。

 今やASEAN、日本、中国(含む香港)、韓国、台湾のGDP合計額は世界の四分の一となり、東アジアの経済的力量と相互依存関係の拡大と深化は、かつてない段階に達しており、この地域には経済圏として必要にして十分な下部構造が形成されている。しかし、この地域の諸国家間には、歴史的文化的な対立と安全 保障上の対抗関係が相俟って、政治的には多くの困難を抱えていることもまた事実だ。

アジア共通通貨の実現には今後十年以上の歳月を要するだろう。それが政治的統合をもたらすまでには、さらなる歳月が必要であろう。

今やASEAN、日本、中国(含む香港)、韓国、台湾のGDP合計額は世界の四分の一となり、東アジアの経済的力量と相互依存関係の拡大と深化は、かつてない段階に達しており、この地域には経済圏として必要にして十分な下部構造が形成されている。しかし、この地域の諸国家間には、歴史的文化的な対立と安全保障上の対抗関係が相俟って、政治的には多くの困難を抱えていることもまた事実だ。

しかし、軍事力増強問題、領土問題など地域的統合を阻害している諸問題は、それ自体を日中、日韓などの二国間で交渉しても解決不能なものなのであり、二国間で話し合おうとすればするほど双方の国民感情を刺激し、ナショナリズムの激化を招きかねないものなのである。

地域的統合を阻害している問題は、じつは地域的統合の度合いを進める中でしか解決しないという逆説に立っている。たとえば地域的統合が領土問題を風化させるのはEUの経験で明らかなところだ。

私は「新憲法試案」(平成十七年)を作成したとき、その「前文」に、これからの半世紀を見据えた国家目標を掲げて、次のように述べた。「私たちは、人間の尊厳を重んじ、平和と自由と民主主義の恵沢を全世界の人々とともに享受することを希求し、世界、とりわけアジア太平洋地域に恒久的で普遍的な経済社会協力及び集団的安全保障の制度が確立されることを念願し、不断の努力を続けることを誓う」私は、それが日本国憲法の理想とした平和主義、国際協調主義を実践していく道であるとともに、米中両大国のあいだで、わが国の政治的経済的自立を守り、国益に資する道でもある、と信じる。またそれはかつてカレルギーが主張した「友愛革命」の現代的展開でもあるのだ。

最後に。今日のEUにつながる汎ヨーロッパ運動の提唱者となったクーデンホフ・カレルギー伯爵が、八十五年前に『汎ヨーロッパ』を刊行した時の言葉がある(私の祖父鳩山一郎は、クーデンホフ・カレルギーの著書『The Totalitarian State Against Man』を日本語に翻訳した)。彼は言った。

「すべての偉大な歴史的出来事は、ユートピアとして始まり、現実として終わった。一つの考えがユートピアにとどまるか、現実となるかは、それを信じる人間の数と実行力にかかっている」


Related;
NYタイムズの鳩山論文は本当に反米宣言なのか? -News Spiral
Japan PM-elect Hatoyama to woo Asia next - Xinhua
A Political Blue Blood on His Own Path - washingtonpost.com
Hatoyama: political blue-blood talking about revolution - Asia One

Yukio Hatoyama does the impossible . . . now for the difficult part - Telegraph.co.uk
Hatoyama Seeks ‘Yukio-Barack’ Rapport, China Ties - Bloomberg.com
U.S. Relationship To Test Japan's New Ruling Party - NPR
Neutral Japan? - Indian Express
Japan's new leader a question mark over US ties - AP
Wikipedia - Yukio Hatoyama