フロリダ黒人少年射殺事件タイムライン&証言集:Shooting of Trayvon Martin - Timeline & Witnesses

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高校生が不審者として尾行され殺されたフロリダ黒人少年射殺事件の詳細をまとめてみた。うちの息子もいつもフード被ってるから人種差別・ヘイト抜きで怖い話だよなーと思って毎日目を通してるのだけど、昨日はいきなり「被害者はマリファナの袋がブックカバーから見つかって1週間停学処分中だった」「去年は落書きで停学した」という、まったく本筋と関係ないリークが出てきて苦笑。「だからなんなんだ!殺されてもしょうがないってか?」とデモが萎えるどころか拡大してしまってるよ。

フロリダ黒人少年射殺事件タイムライン

Sunday, Feb. 26, 2012:
フロリダ州サンフォード市1231 Twin Trees Laneで「銃声が聞こえた」と911通報あり。警察がかけつけた時には非武装のトレイヴォン・マーティン君(Trayvon Martin、17歳、父親はトラック運転手、母親は公務員、ともに黒人)が銃で胸を1発撃たれて、雨の芝生にうつぶせになって死んでいた。死亡確認は7:30pm。

撃ったのは近所の住民ジョージ・ジマーマン容疑者(George Zimmerman、28歳、父親は白人、母親はヒスパニック)。

署は容疑者の正当防衛説を認め、当夜のうちに釈放。遺体は身元不明のまま仮名で3日間、署に保管された。その間、警察は携帯の履歴も確認しなかった。被害者のドラッグ検査はしたが、容疑者のドラッグ検査はしていない。現場保存もなし。証拠品押収もなし。


Wednesday, Feb. 29, 2012:
調べによると、ジマーマン容疑者はゲート内タウンハウスを見回り中で、トレイヴォン君はその週はそこに住む父親と婚約者の家に滞在し、セブンイレブンでSkittlesとアリゾナティー缶を買って帰る途中だった。

Skittles and Arizona Tea (c) HLN


Thursday, Mar. 8, 2012:
父トレイシー・マーティンさんがオーランド市内で記者会見、ジマーマンを殺害容疑で逮捕するようサンフォード署に求める。

Saturday, Mar. 10, 2012:
遺族がサンフォード警察署に集まり逮捕要求。

Monday, Mar. 12, 2012:
ビル・リー(Bill Lee) サンフォード警察署長が記者会見を開き、ジマーマンに犯罪歴があることは知らなかったと語る(2005年に友人を逮捕しにきた警官を殴って逮捕され、元婚約者へのDV発覚。2001年には暴行の被害者の立場も経験している)。 ジマーマンを刑事起訴するかどうかの判断は州検察庁に一任となった。

Tuesday, Mar. 13, 2012:
遺族、サンフォード署に911通報録音テープの開示を要求。

Wednesday, Mar. 14, 2012:
サンフォードのAllen AME教会に宗教的指導者が集まり対策を話しあう。

Thursday, Mar. 15, 2012:
フロリダ公民権協会(Florida Civil Rights Association)が、特別検察に捜査させるよう知事に要求。

Friday, Mar. 16, 2012:
遺族、逮捕を求め再び記者会見。有罪支持の証言者(現場前住民)も現れ、署が911通報の録音テープを公開、これで一気にウェブとマスコミに広まる

Sunday, Mar. 18, 2012:
Titusville法廷に数百名が集まり、州検事にジョージ・ジマーマン刑事起訴要求。

Monday, Mar. 19, 2012:
FBI、司法省が捜査に乗り出す。

Tuesday, Mar. 20, 2012:
トレイヴォン・マーチン君が死の数分前まで彼女と携帯で話していたことが判明。
Norm Wolfinger州検事、Seminoleカウンティ大陪審が死に至った状況を捜査すると発表。
Corrine Brown議員とサンフォードのリーダーが米司法省と会合。
NAACP集会に数百名が集まり運動決起。

Wednesday, Mar. 21, 2012:
サンフォード市委員会が警察署長辞任要求。

Thursday, Mar. 22, 2012:
アル・シャープトン(Al Sharpton)牧師がサンフォード市内の公園で集会、1万人参加(市推定)
Bill Leeサンフォード警察署長、一時辞任発表。
Norm Wolfinger州検事、捜査を外れる。
Rick Scott州知事がAngela B. Corey州検事を捜査担当に据え、市民安全保護特殊チームを編成、「Stand Your Ground」法等の見直し着手。

Friday, Mar. 23, 2012:
警察署長に脅迫メールを送った68歳の男が逮捕される。
オバマが異例の発言
市が警察人事異動発表。

Saturday, Mar. 24, 2012:
ジェシー・ジャクソン師が中部フロリダ入り。
「Real Talk: Real Answers」というグループがタンパでデモ。

Sunday, Mar. 25, 2012:
ジマーマンの黒人の友人Joe Oliverさんが全国放送で「事件後、何日も泣いている。殺人予告もあり居場所を隠している。彼は差別主義者ではない」と語る。
ジェシー・ジャクソン師、フロリダの「Stand Your Ground」法改正を訴える。

Monday, Mar. 26, 2012:
死から1ヶ月。各地で集会。

(Source: Central Florida News 13



容疑者供述「先に殴られ命の危険を感じた」


オーランド・センティナル紙が3月26日初めて伝えた事件後の容疑者供述は以下のとおり。

「最初に襲いかかってきたのはマーティンだ。尾行していたが途中で見失ったのでSUVに戻ろうとしたところで、マーティンが前に割り込んで『Do you have a problem?』と尋ねてきた。『NO』と答えて携帯に手を伸ばしたら、マーティンが『Well, you do now』と言ってパンチを食らわせ地面に頭を何度も打ち付けてきた」、「銃を奪おうとしたので、撃った」

撃った弾は胸に当たり、即死。警察が来た時には、ジンマーマン容疑者の鼻および後頭部から血が流れ、背中に芝生がついていた。「ジマーマンの上にマーティンがいて、叩いていた」、「助けてくれと叫んでいたのはジマーマンの方だ」という住民の証言も出てきた…。


911の指示を無視して尾行

しかし正当防衛が要る状況を生んだ、つまり警察が今現場に向かっているから尾行しなくていいという指示を無視して夜中にティーンを付け回したのはジマーマン容疑者の方だ。尾行しながら911オペレータにアースホールだのブラックだの聞き捨てならない言葉で相手の特徴を延々述べており、これが少年の耳に届いたことも充分考えられる。





ジマーマン: この男、怪しげ。ドラッグかなんかやってる。
ジマーマン:  このアースホールめ、毎度うまいことやりやがって
911通報窓口: つけてるんですか?
ジマーマン:  ああ
911通報窓口:  その必要はないです

容疑者供述と矛盾する証言

さらに、現場のすぐ前の家にいたMary Cutcherさん(動画下)とルームメイトの女性は「泣いて助けを求める少年の叫び声がした。すると銃声がして、叫び声が止まった。あれは正当防衛ではないと思う」と証言している。

Maryさんは警察が当夜調書をとった目撃者6人のうちのひとりだが、「容疑者供述を裏付ける証言などしていない。訂正してもらおうと思って何度も連絡したが、警察からは一度も返事がこなかった」という。「正当防衛なら、なぜ彼(ジマーマン)が銃をもって片膝ついて、マーティンの背中に馬乗りになっていたの?」とCNNのアンダーソン・クーパーに話している…。







死の直前まで携帯で話していた彼女の証言


一方、死の直前まで携帯で話していたマーティン君のガールフレンド(16、匿名)は遺族側弁護士にこう証言している。

「男がずっとこっち見てるからフード被ったと言ってました。見失ったと言うので、走って、と言ったら、早足で歩くと言ってました。走れと言うのに、早足で歩く、と言ってたんです。『なんでつけてるの?』とトレイヴォンが訊いてる声がして、男が『ここで何してるんだ』と言って、あとは誰かが誰かを押して、誰かにトレイヴォンが押されたんだと思います、そこで携帯が落ちたので。かけ直しても、電話に応答はありませんでした」(Gawkerより)



担当刑事は殺人と見ていた

さらにサンフォード署で捜査に当たったクリス・セリーノ(Chris Serino)刑事長までもが最初は殺人罪等で起訴しようとしたのに証拠不十分のため起訴を見合わせるよう州検察に指示されていたことが27日わかった。刑事長は容疑者供述には納得できない、として供述書を後日提出した。



容疑者は警官志望

ジマーマン容疑者は短大に復学し、警官めざして勉強中(事件後停学処分)。数年前からゲート内アパート群の自警ボランティアとして近所に目を光らせ、「車庫のドアが空いてる」とか「車が徐行していて怪しい」と言ってはすぐ通報する、良く言えば正義漢、悪く言えば通報魔だった。昨年1月から通報件数は46件にのぼる。

HOA(家主自治会)が雇った武装警備ではなく、武装警備員の資格もないのにマイアミバイス気取りで拳銃を持ち歩くこと自体違法という声もあるが、警察は武器携帯は合法と話している。



身柄に1万ドルの懸賞金


ジマーマン容疑者のところには殺人予告が舞い込み、現在は居場所を隠している。ブラックパンサー党が「捕えた者に1万ドルの懸賞金をやる」と発表、遺族に嫌がられている。

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刑事起訴するかどうかの判断が下るのは早くて来週になる見込み。


UPDATE:

警察に連行された容疑者の監視カメラ映像




「鼻が折れ、後頭部から血を流し縫合が要るほどだった」ということになってるが、そんなけがはどこにも見当たらない。「トレイヴォンが上にまたがってジマーマンの頭を地面に打ち付けていた」という証言が本当なら、胸を撃ったときの返り血がシャツに残ってないとおかしいが、それもない。

有罪ならどうなる?

2級謀殺あるいは過失致死で起訴され有罪が決まれば重くて終身刑(銃が使われたので)。人種偏見によるヘイトクライムで起訴され有罪が決まった場合は、重くて死刑、軽くて終身刑となる。


専門家「助けを求める叫びは容疑者の声とは違う」

American Board of Recorded Evidence(米国録音証拠品委員会)名誉会長兼法医学コンサルタントのトム・オーウェン(Tom Owen)さんが地元紙オーランドセンティナルの依頼で、「HELP!」と死の直前に発せられた叫びと容疑者の911通報の声を音声識別ソフトで照合してみたところ合致率48%で、本人と認められる90%以上の一致は見られなかった。ミシガンの音声エンジニアで法医学専門家のエド・プリモー(Ed Primeau)さんはソフトに頼らないで声紋を鑑定する人だが、「トレイヴォン・マーティンの声に間違いない。若者が叫ぶ声だ」と話している。


(c) ABC

エンハンスしたら傷口が


ABCが専門家に依頼して映像をエンハンスしてもらったら、なんと後頭部に傷口が現れた。ただし医師の映像鑑定では鼻は折れてない模様。

ジマーマン消息不明に。弁護団も降板発表

求刑を翌日に控えて被告側弁護団が10日緊急記者会見を開き、弁護を降りることを発表。理由は「本人の消息がわからないため」。いくら電話しても返答がなく、完全に居場所をくらましてしまったようだ。


UPDATE2: 検察、ジマーマン容疑者を2級殺人罪で起訴 -April 11, 2012

UPDATE3: 法廷で遺族に謝罪し、保釈された。

UPDATE4:  トレイボン・マーティン殺害のジョージ・ジマーマン被告に無罪判決:Jurors find Zimmerman not guilty in Trayvon Martin Death - July 13, 2013

UPDATE5: ジマーマン、彼女に拳銃突きつけDV逮捕 - Nov 18, 2013
                 まさかまだ続きがあったとは…

Comments

  1. 日本にいて全然知らないニュースだったけど、今日の新聞の1面のトップニュースになっていたので、気になってググったらこのサイトに行きついた。 俺の感ではジマーマンが殺人犯人だよ。マーティンは普通の少年だ。Justin

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  2. ジマーマンは証言がコロコロ変わってますからね…

    過当防衛に至る動機は例えば昔誰かに殴られたとか、マーティン君とはまた別のところにある気がしますね。それにしても何故胸を狙ったんでしょうね…足を撃てば済む話なのに。

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  3. 大学のゼミでこの事件に関する情報を集めていたところ、このサイトを見つけました。時系列で事件の経過が記されており、とても参考になりました。
    ありがとうございました。

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